第二次性徴変性症 21(編集中です |
・距離感 玲は社と組手して思ったのはやはり体の事だ、豊満な胸と尻でブレが大きく感じる……何よりも股辺りの感覚が残っている感も時折脳裏に来る、特に男性の匂いが籠る様な状況で……。 「……」 時折父や兄の上半身裸体を見ると女性としての本能が出て来る……それが他人なら猶更だ。 「(橘さんって恋人と別れたって言うのは確かだけど)」 玲にとっては気になる所か裸体を曝しても構わない男性になっているのだ、問題は年齢の差、ここは慎重にしないといけない。 「(だけど、中学生や高校生でも大人の男性と恋人になっているケースは幾らでもある)」 玲がそれがリスクがある事は知っているが恋をするとそれが見えなくなる……。変性症はホルモンバランスが不安定になる傾向が高い、その故に恋も陥りやすい。それが禁断の恋であってもだ……更に一昔は変性症により女性になった者は孤立しやすい事も拍車を掛けた。今でこそ日本も彼女らが孤立しない様に対策を講じているが……国民に理解される事はまだ先だ。 「……どうしようかなぁ?」 果たして総一郎は自分を恋愛対象として見ているのか……玲の心配は募るばかりだ。 「職場にも好意を持つ異性もいるしなぁ」 総一郎は美形、勤め先は日本有数の自動車メーカーの本社工場……玲にとってみれば不利な所が多い。 「玲、台所で手伝って」 高校生のお姉さん方数人の声に玲も頷く、宴会の準備だ……。 翌日、神楽家に来た玲はみっちり創作ダンスをする。リーナも同様だ……足の怪我も治りホッとしている。 「そうだ、玲ちゃんには言ってなかったけど……暫くはここに住むから」 「はい?」 「トーキョーガールスの姉妹グループ活動停止が長くなりそうなのよ、まあ本家や他のグループは後輩らが引き継いでね……」 「解雇?」 「実質的にはね」 それでも悲観的になってないのは予感はしていたのだろう、火美香はサバサバとしている。 「ただ、新たなプロジェクトに誘われたから東京暮らしは変わらないわ……最も相手が少年、今はオーディションの最中で年明けにはお披露目」 玲らは瞬時にして口止め案件と理解する。 「ママ、別の事務所の話だよね?」 「別って言ったら別だけど、社長夫人がしているからね……」 あゆの不安そうな表情になりかけるが無理に笑顔を作る、母親は察したのか言う。 「家族と離れているのはこの仕事は予想以上に怨恨を買いやすいからね……トウキョウガールスの振り付けも本来は別の方がする筈だったんだけど、その方ね以前関わっていたアイドルグループのファンに襲撃されたのよ……滅多刺しされてね……相手は未成年者って言う事で大騒ぎも出来なかったし、マスコミも影響力を考慮して報道を控えた、当初はね」 これは極端な事例……火美香にしてみれば他人事ではない、その方も引退してしまったのだ。 「私も何年この仕事出来るか……今回は良い機会と思ってね」 彼女のは悲しげな顔を見せるも直ぐに切り替えた。 「じゃあ、最初から通しでいくよ」 「だから、素人相手にしないでぇ~~」 娘の願いもどこ吹く風……玲もリーナも息を整え、同級生も顔を引き締める。今日は玲が所属するグループの他にも複数のグループが来ており、プロのダンサーに直に指導が受けられるとあって熱気が凄い……既に他のグループは全員動けない状況である。 「……明日筋肉痛かな?」 あゆの眼は死んでいた。 昼ごはん後、玲とリーナを除いて全員寝てしまったのである。 「あらら……二人はケロってしているわね」 あれだけハードにして昼ご飯も食べれば普通は寝てしまう……当然である、二人が所属する空手の流派は軍や警察を職にする門下生が多く自然とハードになるので体力面は可也ある。 「まあ、いいわ……玲ちゃんは下着モデル専門だったよね?」 「はい」 「私の母親が勤めている会社の専属になってます」 火美香も芸能人相手にしているだけに玲の容姿は気になっていたがリーナの母親やら神山さんやら楠瀬家の事情は伺っている、アイドルは無理だろう……予想以上にハードだ。 「玲ちゃんって顔立ちが良いからティーンズ雑誌でも通用するかなぁ?」 玲は首を横に振った。宇佐美ちゃんの一件を知っていれば両親も祖父も伯父もあんまりモデルの幅は広げたくないのだろう、火美香も理解しているのは宇佐美の実の父親を知っている数少ない他人なのだ。 社と怜は三沢自動車本社工場に居た、今日から仕事になり二人は研究班が導入した新車を受け取りに来たのだ。三沢ロードポータトラクター+カーテンサイダートレーラーが二台、トレーラーは三沢自動車系企業が製造し、欧州で一般的な高基準規格のカーテンサイダーを国産で製造、無論初である。黒馬運輸研究班が所有しているのは欧州からの輸入車両で三沢自動車系整備会社が整備、しかもカーテンサイダーは国産ウィングトレーラーよりも価格が約3/4になるので扱う荷物次第では……こちらがお得である。防水面に劣ると言うが幌の特性としては破けても応急処置がバンボディよりも容易と言う利点もある。バンボディは破断すると使用が出来ない場合もある。 「これって今度研究班が導入する新車ですか?」 「はい、ドラレコ用カメラも増設。ドライバー異常事態には自動運転で停車する様にしてます」 車内を見た怜に三沢自動車の担当社員が言う、あの事故の一件で仕様変更になり三沢自動車本社やドラレコを扱う系列会社が動いてくれたらしい、あの時の車両にもドラレコが装着していたがカメラの装着位置に記録装置の性能が今一つで交渉に苦労した訳だ。 「同時に操作の記録もされます、何れはコレも標準装備になるでしょうね」 担当社員も他人事ではない、自信も自動車を通勤で使っているのだ。 「トレーラーは低床パワーゲート、黒馬運輸社内規定によりストッパーとガイド付モデルを装着か」 社は動作を確認すると黒馬運輸の担当社員が頷く。籠台車が転落して死亡事故に至るケースもあるのでパワーゲートにはガイドやストッパーが装着している、これは委託する他業者のトラックにも適用されている。 「低床にしたのは籠台車以外の荷物にも対応かぁ……ニッカも導入するとは思いもしなかったな」 「ゲテモノ専門さ」 少し離れた所に山吹色がカンパニーカラーになっているニッカの新車が止まっておりトラクターもトレーラーも同じ仕様、先程まで引き渡しのイベントがあってマスコミの他にも専門誌の記者も来ている。 「沖瀬の方に集中しているなぁ」 「美人だからな、流石に社歴も長いしマスコミ対応もバッチリだ」 すると黒馬運輸担当社員のスマホが鳴りスピーカーモードにする。画面には社員の名があり社でも縁がある人だ。 「ー楠瀬、沖瀬と共にその新車で運んでもらいたい荷物が出て来た。本社の車両管理システムには登録終了している、荷物は……ー」 社の表情が険しくなる、地元だから工業団地の地理には分かるが積荷が精密機器、スマホにカタログが映り社も分かると怪訝な顔になる。 「ニッカの専門分野ですよ、この手なら」 「ーニッカの本社営業部からの正式依頼だ。空調コンテナを必要としないカーテンサイダーでも運べる品物だ、梱包や詰込み、先導はニッカが担当するー」 「了解」 社はため息交じりだ。怜の方も担当重役の秘書が耳打ちしてくれたらしくこっちに向かってくる。因みに二人が乗って来た車両は研究班所属の社員が運転している最中だ。 「詰め込み先は知っている、ここだ」 会社支給の端末を操作して地図を出す。 「工業団地ですから比較的道幅が広いですね、もう梱包は?」 「最中だろうな……いくぞ」 社の声に怜も頷く。 「おぉ~社ぉ……助かったぁ」 発送先の小規模な工場にて梱包作業をしていたニッカの作業服を着た若手社員がニッとした表情になるが社は名刺を差し出しつつ言うと彼も持っていた名刺を差し出す、高校時代の同期であるが就職して初めて顔を合わせた。 「30分前に納車イベントしてマスコミ公開最中に来たからな……担当重役が現場叩き上げで助かったよ」 「本社?」 「そうさ……荷物はこれか」 梱包された荷物の大きさを見れば一目で人力では無理なサイズと分かる。工場には工業団地所有の共同フォークリフトが用意されているので問題はない。 「搬送先は二階フロアになるがこっちでする」 「むすかしいぞ」 「カーテンサイダーの車両から積荷を吊り上げ経験があるオペレーターが担当するさ……」 「まあ、そうしないと引き受けんだろよ、上も……」 二人は会話しつつも積荷の確認をする。本体に付属部品もしっかりパレットに載せフォークリフトで積み込む。 「例の煽り運転による被害事故も解決したけど、ウチから先導する辺りは恐れているのかな?」 「実家でオヤジが乗るスカニアでやってみ、間違いなく拳が飛んでくる」 「血の気の多さは変わってないか」 苦笑するニッカの若手社員も高校時代に世話になった事もあるので分かる。あれは自分の父親よりもコワイ。今でも真偽が定かではない武勇伝が幾らでもある位だ。 「将さんの所、変性症になったって?」 「……そうさ、美人だがアイツ片思いの奴がいるな」 「なに」 「多分、俺並に空手の腕が立つ」 「……そりゃあ安心だな」 二人は語っている間にも荷物の固定とチェックが済む。 「搬入先はここだ」 「大学か……国道沿いにある国立大かぁ」 社はチラっと見ると怜は念入りに固定を見ている、やはりあの時の荷崩れ事故の事が脳裏に浮かんだのだろう。 陣は工事現場用ヘルメットを被り安全帯を装着してある現場に居た。ほぼ基礎が完成し土壌基盤改良用プラント機材の搬出、足場が無いのに安全帯を装着するのは現場を仕切る建設会社の社則だからである。 「大変だったな陣社長」 「ああ、おかげで現場は混乱さ……変にITを進めた結果がコレだ。遠隔アルコール検知器も最初はエラーばかりだったしな」 これの原因は車内の通信環境であったので今は改善、運送依頼も電話受付がメインだ。 「で、あちらは大丈夫なのか?」 「警察が来たから大丈夫だろ……ん?」 騒ぎは陣が土壌基盤改良用プラントの中核、即ち土壌改良剤を注入するシステムが収まっているユニットを搭載準備している最中に起きた。現場監督と建機リースの社員が話していると思っていたが喧嘩になり周囲に居た作業員らが止めに入るが双方ヒートアップ、誰かが通報したらしい……まあここは凶器になる道具が転がっているからよい判断だ。警察官が宥めているが納得してない様子で真柄プロ野球での乱闘騒ぎに近い。 「なあ、二人の直属上司の連絡先知っているよな?」 「ああ……警察沙汰になっているからもう連絡はしているよ……」 百戦錬磨の陣もこの場から去った方がいいだろう……荷物の固定を確認すると運転席に乗り込む。既にタンクを搭載したトレーラートラックと共に現場を後にした。 「ー何時のもヤードになりますー」 「そうか……それにしても事故は災難だったな」 「ー待機していたら対向車線から中央分離帯を飛び越えて激突……積荷が乗っていたら大損害でしたよ。トレーラーの上で炎上、消防も事故渋滞で遅れて……ー」 救いだったのがトレーラーヘッドを切り離し全焼を免れ激突した加害車両から運転席にいた若い男性を救助に成功……エンジンや足回りを弄っていたのだ。よく歩道や建物に墜ちずに済んだのが不思議でならない……トレーラーも全焼したのはシートに引火にしたのだ。 「ーもう古い車種さ……まあ以前から買い替えは考えていたからさ、出入りしている車両メーカー各営業らがな、陣さんの台車ってー」 「三沢自動車系列の所」 「ーあ~前は三沢ロードポータギガでしたよねー」 「エンジンが致命的にダメになったからな……」 散々迷ったがスカニア |
kyouske
2022年01月05日(水) 22時51分52秒 公開 ■この作品の著作権はkyouskeさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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