第二次性徴変性症 2
・発症


「初めての性行為にしては中々のテクニシャンね」
道明寺も仕事とはいえモニターで見るがとても童貞とは思えない程のリードに関心していた、幼馴染のリーナは小学五年生の時に異常性欲症と診断、どうも信頼している大人の一人に処女を捧げたと言うのは知ってはいたが……経験豊富なリーナを終始楽しませた事は道明寺も驚いた。
「兄がいますので」
「あ~~それだったら“裏モノ”の一つ二つはあるわね……うん、この調子でどんどんしてね」
個室では“男と女の営み”を交えた後なのでベットメイクの最中だ、玲もシャワーをしたのちにそのまま精密検査になり、性器の状況は特に綿密に記録された。そしてカウンセリング室にて色々と説明された。
「はぁ」
「気にする事は無いわ、解明や男性に完全に戻せる為のヒントかもしれないのよ……精液も、それで国も色々と補助や特例処置を講じているのよ」
「道明寺先生も……」
「そうね、私も発症前は性欲凄かったし、当時は非番の看護士とね……なんだったら相手するわよ」
慣れているのかショタ食いなのかは聞かない方がいいだろう、玲は苦笑しつつも言う。
「……いえ、リーナが妬くので」
「彼女とは幼馴染?」
「はい、同じ母親同士が同じ産院だった事もあって……気が付いていたら傍に何時も居ました……リーナの父親は医学教授、母親はビジネスウーマンです。兄の隆介さんは米国にて活躍中……」
「ええ、楊教授とJrは遺伝子解析の世界じゃ知らない者は居ない……私も論文を見ているわよ」
立場上変性症の状況を常に知っておくのでリーナと知り合った時には驚いたと言う。
「さて、両親と双方の実家に関しての事だけど……伯父さんの所は長男、長女、次女に三女……長男はもう成人しているわね。貴方の兄さんも……」
「はい」
「母親の兄弟夫婦も同じ状況ね」
無論この様な情報は取り扱いを非常に慎重に有している、中には変性症が出ただけで謂れも無い差別がある。政府もこれを野放しされると変性者が海外に移住される恐れもあり人材流出に出産率低下に繋がるので刑事罰もあり得る程に厳しい態度を取っている。反対でもすれば働き手世代を確保する為に移民でも受け入れ拡充に繋がる……それ故に野党も中々反対意見が言えないのだ。



入院して数日が経過、リーナが持ってくるノートと学校から出されたプリント課題をこなしつつも一日数回の“サンプル採取”と言うローテションが確立していた。リーナも学校が終わると直ぐに病院に来るようになった。
「……空手の大会ダメになった、佐藤と再戦したかったなぁ」
玲とリーナは近所にある日比谷空手道場の門下生であり二人の兄も門下生だ。序に玲の父親である将に伯父に当たる仁も門下生……楊教授も少し齧ってはいるがカンフーがメイン、この方々はチンピラや半グレ程度の若者なら返り討ちして交番に放り込んだ武勇伝を持つ。
「仕方ないわよ……それよりも、だるくない?」
「少し……」
表情を見たリーナは体温計を取り出して測定、耳の温度で分かる最新鋭のタイプだ。
「……覚悟出来ている?」
「……うん」
彼女は女性化の前兆を知っていた。直ぐに担当医者に連絡を取る……リーナが個室から出た瞬間、僕の視界と意識は途切れた。



      目覚めたら僕から私になっていた



何時のも様に起きるとリーナがベットの上に上半身のみ身を預けて寝ていた……ずっと付き添っていたのだろう。サイドテーブルを兼ねた個人用収容ボックスに置いてあるスマホを見ると数日は過ぎており時刻は午前五時……何時もはランニングと空手の朝稽古だがその気にならない。腹痛で起こされた感もあるのだ、とりあえずトイレに急ぐ……。
「(まさか……)」
性徴ホルモンの異常分泌でそのまま初潮を迎える事もある……個人差はあるが第二次性徴期に差しかかると発症する事は確実である事は分かってはいる。
「本当に無いんだ」
数日前まであった男性の象徴は無い事は分かっていたが実際に見てみると分かる。とりあえず便座に座って初めて見た瞬間に言葉を失った。初潮の事は聞いてはいたがあんなに血を見るとゾッとする。
「玲!開けるわよ!!!」
リーナと視線があった瞬間に安堵感を感じた。
「なっちゃった」
「……おはよう、そして初めましてかな……玲ちゃん」



その後は当直の先生と看護士がメディカルチェックして担当である女医さんが出勤早々に来た。担当医が発症後には女医になるのはそれなりの配慮だ。
「暫くは生理が重たいからね」
「はい」
「それにしても……ここまで胸が発育するって想定外ね」
男女兼用である病人用寝巻でも抑えきれない程の巨乳になっているのだ。これにはリーナも唖然としており暫く自分の胸を見つめていた、因みに彼女の母親は欧州の都市国家出身者であるのでそれなりに巨乳であるが……。
「玲、うぁ……これはまた」
「日菜子さん、これから大変になりますよ」
「……そうね、流石にこれは」
玲の母親である楠瀬 日菜子は夫である将の性格をよく知っている、子煩悩であり寡黙な男であるが一度キレると怖く一昨年玲が上級生の児童と喧嘩になった事があり相手の父親がすごい剣幕になったが余りにも荒唐無稽な要求に将が激高、慌てて日比谷道場に居た師範代に来てもらった事がある。喧嘩に至った要因は相手の上級生にある事は明白なのだ、最もその上級生と両親も余りにも常識があるとは思えない事は知っていたので……。
「とりあえず、お赤飯ね」
「……仕込んでいた?」
「ええ、料亭神田川親方直伝の……」
母親の旧姓は神田川、実家は地元は元より食通らに知れた“料亭 神田川”である。親方の事神田川 仁三郎の長女が日菜子、料理だけは何処の嫁に出しても姑を唸らせる腕前である事は確かで嫁入り道具も包丁一式、しかも業務用である。
「玲……」
「お父さん、その……」
「変わりはないさ、玲……息子から娘になっただけだ」
ポロシャツに作業用ズボンで安全靴と通勤前に寄った感がある、因みに父親の将は建設会社勤めであるが主に建機や工事現場で使うプラント機材輸送を担う部署だ。
「ダーリン、そろそろ行かないと」
「ああ……先生、玲の事はよろしくお願いします」
「はい」
「みんなには話した?」
「ええ、私の父親なんて直ぐに雛人形買ってくるって言って京都に飛んだし……この分だと三箸鴉会にも知られているわね、ダーリンの実家も今頃大騒ぎになっているかな……」
女医さんが日菜子の困った顔に思わず尋ねる。
「お父さんの実家って?」
「株式会社楠瀬運輸……自分はそこの社員です」
「兄ぃ!!!仕事は!!!」
「済ませた……はぁ、妹なら胸が……がぁ!」
「……日菜子さん、正弘が間違い起こす前に“仕込み”ます!」
男としての本能が漏れ出す言葉が出る前に見事なリバーブローを叩き込んだのが檜屋 篝、兄とは幼馴染であり高校時代に漸く恋人になれた。現在地元大学に通いつつも就活中、彼女も日比谷道場に通う学生さんだ。突きの威力で中学高校と幾度もチャラ男を沈めており、兄も不意打ちで喰らえば絶句し蹲る……実は彼女の父親が元ボクサーであってやんちゃぷりに困った彼が頼ったのが日比谷道場だ。
「だめよ、そんなことしたら貴方の両親に申し訳ないわ……正弘」
蹲る息子を見る日菜子の眼は冷たかった。



「で……この巨乳に関しても個人差なのね」
昼過ぎになってクラス委員を務める三津川 香が来た。丸レンズに淵無し眼鏡で如何にも秀才と言う感もある。
「そうよ……パパも“直ぐに遺伝子解析する!”ぅて台湾語でメールが来た」
「そっ……さてと撮影するわよ」
今やクラス共通Lトークチャンネルがある時代だ。香がスマホで撮影し送信すると反応が返ってくる。
「入院って何日まで?」
「問題無ければ一週間ネ」
欧州熟女美人であるがボディーラインは完全に崩れてない……子供二人産んだとは思えない。
「ママ!」
「トリアエズ倉庫に眠っていたモノ発掘シマシタ!」
足元に置かれた段ボール一箱には少女用下着が梱包済みで入っていた。諸事情により市場に出る事は無かった下着で近いうちにたたき売りするつもりだったのだろう。声の主であるトスカ.楊はリーナの母親で輸入雑貨の会社に勤めている。玲の胸のサイズは正確に計測されそのデータをリーナがスマホで送信していたのだ。
「いいのですか?」
「リーナの世話をしてくれているオレイデス、何時も楠瀬運輸ニムチャサセているので……ボスも変性症のJrが居るので……」
トスカさんも申し訳ない感で告げる。
「あのミセス楊、彼女の胸は」
「マウント富士クラス……男どもの忍耐力がタメサレル時ネ」
香もやはりという表情になり、こうなると拝みたくなる。
「……こいつは社に見せない方が正解だな」
「仁伯父さん!!!!」
楠瀬運輸社長の楠瀬 仁は将の兄であり、玲にとっては伯父に該当し社とは長男であり現在は黒馬運輸に勤めており東京郊外に住んでいると言う。少し厳つい感じもするが人当たりが良いが激高すると父同様だ。
「トスカさんも……無理をしなくてもよいのに」
「あ~~アウトレットに叩き売りスルツモリだったけど変性症の子は物入りニナルノハワカッテマス」
「弟夫婦に代わってお礼を」
「いえ……これはボスの命令ですから」
欧州では変性症に対しての支援が幅広く国民にも理解が得られている、それ故に変性症に対する偏見を煽る様な言動は禁止、刑事罰も辞さない国家が殆どだ。日本よりも速い段階でこの様な処置を取ったのも宗教との付き合い方もあるのも理由だ。
「あら、お義兄さん……それにトスカさんも……」
母親が来て会釈する。
「とりあえず退院する際の服は揃えたわ……」
仁はその服を見て苦笑し香はアッと言う。
「私の学生時代の制服……もう母校はブレザーになっているけどね」
靴も揃える事が出来ると言う。

kyouske
2018年11月06日(火) 02時00分07秒 公開
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