第二次性徴 変性症 13
・魑魅魍魎な世界

宮島 広海の様に“本人には告知せずに発症した”ケースは変性症の対処方法が手探りだった時期によくある話でもあった……それ故に性同一障害に陥って自殺した人も出ている。各国政府もそれを防ぐ為に医療機関では発症前に本人にカウンセリングをして精神的ショックの緩衝に努めているのだが……それが機能しなかった事に問題視されており騒ぎが大きくなっている。
「よっ、検査はどうだった?」
「問題無いです、身体面は」
「その様だな……(素で”悩める美少女”って言う感じになっているわ)」
神山は苦笑しているが宮島の素質はお世辞抜きで本物で、知り合いの劇団主宰者も引き抜きたいと言う程であった。
「まあ……精神カウンセリングは受けろよ。そのままだと危ない」
「……僕はまだ」
「……じゃあ身体面で後遺症が残っても男に戻っても後悔はする覚悟があるか?」
「!」
「……医療技術による人為的な遺伝子操作は安全性が保障されてない、最悪死亡する。そうなった時の影響を考えろ……芸能人だったからな」
確実に宮島家は崩壊する、広海は唾を飲み込んだ。隣国の高麗共和国では数年前に国家主導の大規模な臨床試験をしたが被験者になった子供達の多くは後遺症や死亡に到り、政界も経済界も大混乱に陥った程だ。日本や欧米各国はマウス等を使って牝に変化した個体を牡に戻す実験を継続しているが状況は不明だ……。
「……神山さんが初めての人になってくれるのなら」
パジャマのボタンを外して胸がチラっと見えており迫ってくると神山は言う。
「すまん、俺の息子は既に燃え尽きているからたたないがね」
神山はそこまで切羽詰まっている彼女を見て頭を抱えつつあった。



面会時間終了になり神山はため息を付き私物の自動車に乗り込む……状況が思った以上に深刻であり神田川夫妻まで巻き込む事になった。
「ちくしょう……シャイニングのどら息子が」
社長就任当初から危ないと思っていたが……寄りに寄って最悪のスキャンダルの火種を起した事に神山は愚痴をこぼす。先代社長、即ち今の会長も不安を抱えていたが。
「兎に角神田川の所に寄るか」
長年続けた番組レギュラーを後進に譲り、俳優業も一息入れた矢先にこの騒動が起きたので宮島をこの病院に転院、発症して無事に肉体的に問題が無い……後は神田川の所に挨拶がてら行く事にした。県立医大病院とあって人の出入りが多く駐車場も広い……運転しつつもナンバープレートと車内を見る……やはり東京各所のナンバープレートを付けた自動車が数台止まっており病院にカメラレンズを向けている。
「(何人か来ているな)」
マスコミでもフリーの連中にとって少女になった宮島を写真か映像に残せばとんでもない額が転がり込んで来るからだ。先程神島は緊急声明をメールで送信し事務所がマスコミ各社にファックスで送信した事で発表し過熱気味の報道に関して苦言を呈しているがフリーはそんな事は関係はない……報道の自由を理由に追いかけ回す気だ。
「(落ち目の俺にも気がつかんか)」
好都合だ……若い頃は変装して毎度夜の街に繰り出して朝まで呑み明かしてはいたが呑み友達が相次いで天に召された事で落ち着いている。スマホが鳴り自動的にハンズフリーで応答する。
「俺だ。ああ……そうか、こっちには嗅ぎつけたパパラッチが何人かいたな……例え映像や写真があっても買わない様に手筈は整えているか?」
『もちろんさ……今関係省庁担当者に確認を取って万が一の時にはそいつらには制裁が来る』
「具体的には?」
『紛争地に行く恐れがある連中のパスポート返納とかな』
「……なんとまぁ国民思いの政治家だな、例の場所も確保出来ている。じゃあな」
神島は苦笑しつつも通話を切りバックミラーを見る……案の定追っかけて来ないか。上出来と思う……例え宮島がここに入院している事が確定しても院内に不当に入れば即逮捕になる……それ故に本体よりも遥かにとな高額な望遠レンズを装着して駐車場から狙うしかない。
「(幸いここは撮影個所となる出入り口が幾多もある。だが宮島をここで撮影出来ると思うなよ)」
神山はニッとした、こう見えてマスコミ連中を煙に撒くのは上手いのだ。




三沢自動車本社工場敷地内にあるテストコースにてチューニングされたマシンを操作する橘……助手席にはコドライバー(ナビゲーター)の同僚がペースノートを読み上げている……ラリーカーは舗装道路若しくは未舗装の道を高速道路を通行する速度で走る……当然コース設定されているが看板は必要最低限で目印すら無い場合もある。そんな時に必要なのがコドライバーと言う職種で試走ニ回して方角やシフト番号を記載したペースノートを読み上げ、ジャンプすれば距離計を手動で操作し、川を突っ切る際にはエンジンに水が入ってこない様に吸気口を閉じる操作もする……無論ラリーにも色々とありアマチュア向けのサンデーラリーからプロドライバーや企業同士の誇りが激突するWRC……橘が今操作しているマシンはWRCにエントリー予定でデータ採取用だ。
「予定通りにこなしたぞ……」
「ったく、WRCにエントリー出来るのにもったいないぜ、裏方なんて」
「Mr.ホスキング、俺はメカニックだ……アマチュアならいいけどね」
コドライバーは外国人社員なので英語でジョーダン交じりで言う。
「学生時代に何かやったのか?」
「大学進学を諦める位ね……まあ自動車整備の専門校に通いつつもバイト先のおやっさんに気にいられてねぇ、国際ライセンスも取らされて、何時の間にか三沢自動車の人事担当に紹介文が渡っていた」
その後はトントン拍子で内定を得て社員になった訳だ。就活で悲鳴を上げていた同期には気の毒と思うが……。
「それにメカニックでも海外社員の方がアドバンテージがある……悲しいが日本は競技車輛を操縦も整備も遅れている。市販車に関しては世界有数かもしれないが」
「とことん会社に合わせているな」
呆れて掌をあげる仕草をする。シートを上にマシンを止めエンジンを停止、そして降りるなりメカニックらがジャッキアップして専用の台に固定する。あっという間にタイヤ丸ごと外され新たなタイヤが装着される。
「何か感想は?」
如何にもメカニックと言う風貌の男はニッとすると橘は言う。
「エンジンは好調、電装系も問題無い……市販するのならね」
「競技には出すなかな?」
「ああ……もう少し反応過敏にしないとお気に召さないよ、彼らは……」
ファクトリーにてトランスミッションを外すように手筈を整えるメカニックリーダーはやはりと思う。
「耐久性が保障出来ないがね……あんまり高度化するとAT丸ごと交換ッテなりかねんぞ」
WRCに置いては部品交換が制限されておりやむを得ず交換するとペナルティ、即ち失点になる……冬季ラリーなんて完走車は愚か優勝者にも三桁に到達する事もある。
「もう少しスパってなりませんか?」
「ギアの精密加工やオイルの限度ってあるからな」
「ラリーは何があるか分からないのですから……それを如何にこなすか」
橘とホスキングにスポーツドリンクを投げ渡す車椅子の女性はにっこりして言う。オフィス制服を着ており仮設のテントで待っていた。
「レディまでかりだしたのか?チーフ?」
「Mr.ホスキング、ご心配なく……それに私は出来る事はする主義です」
レディと呼ばれる日下部 亜理紗はPCの操作を始める。
「二人とも後で旧本工場設計室に」
橘もホスキングも顔を見合わせる。旧本社工場とは三沢自工本社工場で最も古い建物でここに本社工場を移転して最初に出来た主要工場である。今では半分倉庫になっているのだが……設計室に会長が居ると言う事はのっぴきならぬ事態だ。



数時間後、夕焼け空が映える旧本社工場の設計室に二人が入る。製図台に向き合い画いているがお構いなしに言う。
「橘にホスキングか……少し困った事になっている社員がおる」
「女、金どっちですか?ボス?」
「本人と言うよりは身内でな、本社営業二課の宮島 晴信の弟がアイドルをやっておる……その子が変性症になった」
「おぅ、大騒ぎですね……たしか宮島 広って女性らに大人気ですから。阿鼻叫喚の自棄酒祭りですな」
ホスキングの遠い目に橘も薄ら笑いをする。
「彼女は今、この県立医大病院に入院しているが何れ嗅ぎつけられる。宮島君にも何人かマスコミが接触している」
「目的は?」
「少女になった弟の姿を撮影と取材……」
「確かこれって本人に知らせないままで」
「っむ、発症して女性になってしまっているので性同一障害の初期症例も出る可能性もある。何より彼女は芸能界に未練があるが……」
「シャイニングは少女/女性アイドルに手を出さない老舗だ。どの道引退するしかない、移籍しても……」
「待っているのはポルノスター(=AV女優)って言うのか?」
「事務所の中には最初からそうするつもりでスカウトしている所もあるからな……最も露骨にやり過ぎて、血塗れになった奴もいるけどね」
会長は振り向くと言う。
「彼女の兄も接触は出来ない、彼は営業のプロジェクトでここ数年は実家に戻っては無いのだよ……問題は直ぐ下の妹の方だ」
年季が入った作業ツナギのポケットから写真を出す。如何にも水商売ぽい衣類を着用した女性に身なりがちゃんとした男性が写っている。
「彼の直ぐ下の妹さんだ……見ての通り夜の蝶だ。既に東京支社秘書が確保に動く」
「マスコミ対策ですね?」
「それもあるが、ヒモが産業スパイでね……協力企業は元より他の業種も手広くやられていてのぉ……さて二人には彼女の移動を担当して貰う」
会長は自動車のキーをサイドボードに置くと二人はそれを取った。
「自動車は例の場所にある、車内には必要なものが揃っている」
「「はい」」
二人は頭を下げて部屋を出ると雑然と置かれていたケースの影から品が良いスーツを着た初老の男性が出て来る。
「申し訳ない、巻き込んでしまい……そのあの子はかわいそうでな、せめて如何にかしちゃいと」
黒馬運輸のCMに宮島 広を使っていたので孫同然な所もある。
「お客様のご要望に答える事が出来るのなら答えるのが社訓だ……黒馬運輸元会長が態々ここに来たのは?」
「表向きは件のセンターアストル方式のフルトレーラーと新基準のトレーラーの見学じゃ……最もあの子の兄がここに居る事は知っておったが」
「……その妹のヒモが問題あると教えたのがお主だったな」
「ヘビークレーマーでねぇ、合法的に葬り去る機会を窺っただけさ」
「顧客情報の漏えいは黙っておくか」
二人は年老いてはいるが共に苦楽を有して今の地位に居る。
「この後神田川にも行くか……」
「あの店は予約取らないと迷惑じゃろ……女将が困る事はあんまりのぉ」
「既に神山が予約を取っている……二人位なら大丈夫って言うしな」
会長はヤレヤレと思いつつも製図台にある椅子から立ち上がりパーテーション内側にあるロッカーを開けた。そこには一流店で仕立てられたスーツと道具一式が納められていた。




・女として生きて行く覚悟


広海は夕食を終えると通信教育の課題をしていく。子役時代からの習慣で今では芸能人も学歴も重視されるようになる……課題すらできない事もあったのだが入院には良い暇潰しになる。机の上には変性症患者向けのパンフが置いてあるが正常にカウンセリングを受けている事を前提しての内容なので彼女は見る気もしなかった。
「やっほぉ~どうかなぁ?調子は?」
「あっ、その……」
「夕食前にカウンセリングの予定があったのにごめんねぇどうも色々と仕事が舞い込んでねぇ……」
精神科医である彼女はタレントとしての一面もある……NHKの医療診断推理バラエティにも司会進行役として辣腕を振るう。
「宮島さんはどうしてアイドルに拘るのかなぁ?」
「別に拘って」
「本当は分かっていたんじゃないの?変性症の事は……」
「!」
「うん見事に図星って言う表情だね……シャイニングは変性症になった子役は速やかに契約を切るからねぇ……おねーさんの事もあるし」
「どうしてそれを?霞山先生?」
「私って医療や芸能界からのパイプも多いからさぁ……患者の為なら裸体晒すわよ」
彼女はパイプ椅子に座り喋る。
「東京に居るおねーさんの問題もね」
「……」
「……彼女も変性症、兄弟で発症するケースは各国でもそんなに出ない。研究者としては貴重なサンプルを得る機会を失ったからねぇ……」
まだまだ少子化の影響が残る日本にとっては兄弟で発症したケースとは貴重な事だ……それを潰された怒りは並大抵ではない筈、刑事罰処分で済むかどうかも分からないのだ。
「私は精神科の医者だから医学関係者の怒りは分かるわ、でも同時に芸能人の心情も理解はしている……貴方の姉は結局まともに学生生活を送れずに故郷での人間関係に絶望して東京に……」
「分かっているんですね」
「貴方の姉のカウンセリングをしたのは恩師だからね……どんなにしてもマスコミが煩過ぎて手に負えなくなった……で、精神科医のやりがいを無くして姿を消した……」
「……」
「だから今回は早い段階でマスコミを押さえているのよ……マスコミもバッシングとニュースソース枯渇が怖いから従うでしょうね……芸能界としても使いづらい」
「無理なんですね」
「これからは女の子として過ごす事は無理ではないわ、付き合いが長くなりそうね」
彼女はにっこりとした。しかしここまで厄介な事になるとこの先彼女が健やかに人生を過ごせるかも怪しい、生きがいの消失に症例の隠匿に両親の離婚……精神面で影響が出て来るリスクも跳ねあがる。



・手を差し伸べる大人達


料亭神田川……戦前からこの地にある名門料亭に今宵も灯り賑わいを見せている。今でこそ長男に本店、次男には駅前にある系列店に任せている……とは言え夫の仁三郎は未だに現役、三箸鴉の会の時には包丁を手にして弟子達に指示を出すのだ。
「今日は三人に加えて三沢自動車の会長様まで来たのかのぉ」
「フランキー堺の娘さんも見えてます」
仲居さんの話に若い料理人は作業しつつも言う。
「何が始まるですか?」
中堅の料理人がため息をついて言う。
「人助けだよ、ぼやぼやするなよ……板長らは一般客に専念させているからな」
「はい」
神田川本店がある敷地内も武家屋敷が建っていたのだが仁三郎の祖父が手に入れた時には大工でも建て替えを勧めた程荒廃、仕方なく建て直したが武家屋敷の面影は残したらしい。そして平成の世になって“離れ”が新設された。
「人助けって?」
「さあな、三箸鴉の会の面々は親分肌だからなぁ……ウチの大将もそうだが」
中堅の料理人は呆れるがそこに惹かれて高校卒で弟子入りして普通なら独立するのだがその気にならない。


厨房の騒がしさとは対象的に客間では静寂に包まれ、ただ一人神山がスマホで話していた。
「……そうか、じゃあ出来る限りの事はしてくれ」
神山はスマホを置くなりため息をついた。
「やはり離婚か?」
「無理はないさ、戦略結婚で三人の子供なんて上出来だ……ましてや彼女は箱入りやらお嬢様育ちやら言われて意地になっていたからなぁ」
「仕方あるまい」
「問題は末っ子だけじゃなく長女も深刻じゃな……」
「離婚に関しては一度、子供同士で話し合ったらどうでしょうか?弁護士立会いであれば問題は無いです」
「そうだな……」
「彼のスケジュールに関してはワシが何とかしてみる……計画に関しては順調だじゃな」
三沢自工会長は冷酒をクイッと呑みお通しを手に付ける。
「あらあら……何時もは騒がしいのに……」
「大女将にも迷惑をかけるな」
「こんな事情を抱えているのなら、それに日菜子の所にも娘が変性症ですよ、もう孫娘バカぷりで……料理に粗相が出ないのか心配で」
四人とも大女将の困り顔に納得した。
「で円城寺様を初めみなさまは大丈夫なのですか?」
「この一件は党首や三役から一任されているからな……別に俺が東京に居なくても政治は回る」
こう見えても世間では荒っぽく野党議員に罵詈雑言を浴びせかけて議場退場を度々起しているが仕事内容に関しては党内の実力者からは評価がある。大臣を何度か打診されているが本人はする気が無い。
「わしもな……会長となっているが相談役に代わらんよ」
馬通も後進に道を譲ってはいるが妻には先立たれて子供も独立しており孫も忙しいので会長時代からの付き合いがある盟友や取引先上役との世間話で暇をつぶしているが今回は大事だ。
「俺も仕事を後進に譲っているがね……この手のトラブルは手が空いている者が対処するもんだよ……」
「本当に皆さん働き過ぎですよ……」
神田川の大女将もそうだが……今更縁日で一日過ごすなぞ無理であった。
「家内は家内で用事があるしな。いまさら人生の余生を過ごすに道楽は必要もないのだよ……」
「程々にしてくださいよ、おじ様方」
現女将の神田川 順子は数人の仲居を引き連れて離れに来る。料理が出来上がったのだ。箸を付けるのも躊躇する仁三郎の料理、スマホで撮影するなぞ野暮、四人は箸を手に取り芸術品を食していく。夏でも胃にやさしく美味しい料理。
「お連れ様にも出してますよ、賄いですが」
ここでいうお連れ様とは馬通と三沢自工会長、円城寺の秘書や運転手でここの賄い(=裏メニュー)のファンでもある。
「申し訳ないのぉ」
「いいのですよ」
順子は苦笑する。



東京の歓楽街、歌舞伎町の路地裏……そこにガタイがよい男達が転がっていた。怯える水商売の女を橘がガードしホスキングがフットワークを軽やかに踏む、その先には転がっている男達の仲間がにらみを聞かせている。
「橘、後始末は任せて彼女を」
「OK……ホスキング。しゃべれるようにしておけよ」
橘は水商売の女の手を引っ張り大通りに出る。
「あのぉ!あなたはいったい?」
「お兄さんの会社の同僚……あの外国人もそうだよ」
無理もない出勤途中で得体が知らない男達に囲まれて雑居ビルに連れ込まれそうになったが寸での所でこの男と先ほどの外国人に助けられた。
「宮島 カナメ……元少年アイドル候補生で宮島家長女、間違いないか?」
「そうよ」
「弟のことは知っているな?」
「報道で知った……どうするのよ?」
「君を兄の元に合わせる、両親の離婚は決定的になっているからな。最も養育権は父親になるが変性症になってしまった広君のことを考えると兄じゃ手に余る」
「だから面倒を見ろって?」
「そうだよ……親類含めてマスコミが押し寄せているからな」
橘は駐車場に止めてあった自動車の電子キーを解除してカナメを助手席に乗せる。
「これから行く所は匿ってくれる場所だ。ああ勤め先には話を通しているよ」
最もこんな事は水商売ではよくある話らしく、私物は後日取りに行く事も了承してもらっているしウィークリーマンションなら数日留守でも大丈夫だ。
「……家庭の状況は大体わかっているのね?」
「ああ」
「嫌よ」
「でもやらないと彼女は君と同じになるよ、俺にも変性症になった友人がいるし弟もなったよ」
「それで?」
「受け入れられなかった、当時はまだまだ偏見の目もあった時代だ。高校の時に友人が性的暴行を受けた……俺は加害者を病院送りにした」
「あら、すごいわね」
「加害者の親が表沙汰にしたくなくってね、俺の暴行の件は正当防衛で事件化されなかった」
「有力者だったわけね、彼女は?」
「……立ち直ったよ。加害者らは前科もちさ」
既に自動車は首都高に乗り三沢自工がある街に行くべき東明高速へと向かう。
「所で……さっきから追跡している自動車があるけど」
「君のヒモな、産業スパイで政府も他の企業も困っていたからねぇ」
「!」
「まあヒモに関しては政府の怖い黒服が問い詰めているとして……お仲間だろう」
「どうするの?あの外国人社員も」
「彼なら心配要らないよ、若いころはアマチュアとはいえ全国No1になって、軍隊じゃ軍式格闘術で猛者になったからね。刃物振り回してもKOされるさ」
橘は苦笑するとカナメが唖然とした。
kyouske
2017年05月11日(木) 16時18分37秒 公開
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