第二次性徴変性症 12
・父の義姉訪問

昼食も終えた頃に茅野従姉が戻って来た。綾音従姉はサウナでアルコールが抜けたのかそのまま自宅へ帰宅したらしい。
「お昼は食べて来た訳ね」
「はい、そうでしないとノンアルコールビール呑みかねませんので」
「元は言えば私の実家って酒が弱いからねぇ……はぁ。嫁の所も何れも弱かったかわねぇ」
「お母さん、それ義姉さんらの前で言わないでね」
「分かってますよ……はぁ、揃いも揃って結婚前に仕込んで……」
こうなると玲も茅野従姉も美濃島、瀬島さえも薄ら笑いをするしかない……。
「でも孫は早いうちから出来た方が得よ」
「お母さん!!!」
茅野従姉が素っ頓狂な声を上げる。楠瀬 麻利は彩音、茅野、宇佐美の母親であり玲から見ると父である楠瀬 仁の義姉、即ち兄の嫁さんである。
「ご無沙汰してます……便りだけで」
大女将が深く頭を下げるが麻利はそれを制止するように言う。
「お気づかいなく。にしても……これはもう、彩音が自棄酒に走るのも無理はないわねぇ」
玲の胸を見た麻利は苦笑する。
「あの姿見ありがとうございます」
「女の子になったんだからね……化粧道具も増えて来るし」
「お母さんって良く家具を拾って修理するからね」
宇佐美の言う通りで木製であろうが金属製でも修理してしまう……と言うのも麻利の実家は中小工場が集中しており実家も家具工場を営んでいるが殆どが店舗で使うテーブルや棚にパーテション(仕切り)の受注製造と修繕しており、腕前も祖父や父親譲りだ……今の夫とは出入りしている運送業者の紹介で知り合って数年後に彩音を宿したので嫁入りに到った。玲の部屋にある姿見もボロボロで鏡に到っては割れていた……流石に鏡までは張替られないので実家にて暇を持て余している次期社長、即ち兄の息子に経験を積ませる為作業を依頼、後はガタついていた引き出しの修理に全体の塗装までは彼女が全てやってしまったのである。無論玲の自宅まで届けたのも……麻利も四t車までなら運転出来るのも実は実家の都合と言う一面もあり自家用車は逆輸入車のピックアップトラック“三沢ライドマスターピックアップ”を使用する。この車種はかつては国内工場で生産されていたが今ではタイと台湾にある工場のみで生産されている。
「で……何故訪れたの?」
「序に玲ちゃんを見てみたかったし……う~んこれは……拝みたくなるわね」
……玲はもはや何も言わなくなったが改めて女性とは胸を気にする事は理解した。
「本題に入るけどイベントの段取りが決まったから……で、これがレポ作成して貰う分よ」
「あらまぁ……随分と丸投げする訳ねぇ」
日菜子はそう言いつつも渡された資料を見て楽しそうな表情を浮かべている。
「映像は専門家が撮影するって……」
「随分と気合が入っているわね」
「雑誌の付録って……」
今やPCの所有率や高性能化によりこの様な映像特典も珍しくない、麻利も日菜子も子供の頃は漸くVHS式のビデオデッキとカセットが一般家庭に普及した事を考えると呆れる程に今の雑誌付録にCD-Rが当たり前は異常にも思える。
「色々とあるわねぇ」
二人は苦笑するしかない。



・三箸鴉会からの頼まれ事


数時間後、神田川の大女将は帰宅するべく車内にてくつろいでいるとスマホが鳴り話し始めていた。予約なら料亭事務所の固定電話に来るのだが先代女将からの客となると日菜子の母親のスマホにかかってくる事もある。ガラケーを使用していたのだが“シンプルスマホ”が出たので切り替えている。
「……分かりました、彼女を預かりましょう」
『すまない、厄介事に巻き込んで』
「いいのですよ、孫の一人が変性症になってしまってねぇ……他人事じゃないから」
『あちゃぁ……大丈夫なのか?』
「嫁ぎ先も問題無いし……それよりも預かってほしい子の様子は?」
『女性になる覚悟が出来ないまま発症したからなぁ……入院先がバレるのも時間の問題だ』
「本当にマスコミの皆さんは仕事熱心で……」
『大女将の所なら大丈夫だろ、新聞社もテレビ局も出版社の社長や会長に相談役が数人馴染みの客だし』
「そうね……万が一の時には直ぐに対処出来る人達だし。分かったわ……それとなく話してみるけど、フリーのパパラッチまでは……」
『そいつらには俺の人脈で押さえる』
「また炎上するわよ」
『それが俺の役割さ』
「これが落ち着いたら、会食してね」
そう言って大女将は通話を終了してため息を付くと錦織は話しかける。
「例の鴉達ですか?」
「ええ、錦織少し騒がしくなるけど大丈夫かしら?」
「そりゃあ、師匠と大女将の為なら幾らでも……例の元少年アイドルを匿うと言う事ですね」
「察しが良いわね……さてどうやるのかしら?」
大女将はにこやかな表情をする。




玲は道場を訪れていた。高士からのラインで裕次郎が泊まる事になったので心配になって様子を見に来た。案の定大の字になって倒れている高士とへたり込む裕次郎……そしてさっぱりとした表情になったリーナが道場の中央にいた。
「泊まる事になったから……」
「大丈夫なの?」
「一応父親の許可も出たし、高士には丁度良い相手よ」
高士の母親が苦笑しつつも言う。高士もそれなりの腕前がありこの前の大会も個人組手ではベストフォーまで勝ち進んだ……。
「玲、少しばかり組手しない?」
玲は胴着姿であったので応じる用に構えた。

kyouske
2017年04月16日(日) 01時50分49秒 公開
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