第二次性徴 変性症 6
・女の子一年生

「楠瀬、水泳の授業行くのか?」
「うん」
高士が自然と話しかけてきた……水泳の授業は一学期後半から組み込まれているが基本的には泳げる者は自習に近い……簡単に言えば各種泳ぎ方のタイムを更新すればよい。玲は小学校に行く前から泳げるのだが……。
「高士、今まで通り玲でいいよ」
「いや、そう言う訳もなぁ」
玲からは死角になるので見えないのだが高士は至る所からの冷たい視線を感じていた……同じ男子生徒からも女子生徒からも……。
「じゃあ、道場で」
そそくさと鞄を取り教室を出る。玲は?が頭の周りを回りつつも水泳道具一式が入ったサブバックを持ち教室から出た。
「まっ、女の子になった上にこんな巨乳じゃねぇ」
「無自覚って言うのも罪ね」
リーヤと美濃島はため息を付きつつも玲と共に更衣室へと向かう。


「……あの?」
玲を見た他のクラスの女子生徒らの視線はたわわな胸に向かっていた。
「玲君可愛いから女装させたかったなぁ……メイド服にブルマに」
「それ残念よぉ!」
二年生のお姉さん二人の声に玲は一瞬寒気が走ったが気にしない様にした。
「一年二組の楠瀬いるかぁ?」
「はいっ!」
既に水着に着替えリーナに髪をセットして貰っていた所に葵川 アヤ先生が入ってくる。体育科の女性教師で姐御肌な性格故に男子生徒にも人気がある。胸も結構ある方で何よりの引き締まった体は魅了する。
「はぁ~~聞いてはいたがこれタイム計測し直した方がいいな」
パッと見るなりアヤ先生の言葉にその場に居た玲を除く全員が頷く。
「……ソーデスヨネ」
入院前に数回水泳の授業をしていたが……玲はがっかしする。基準タイムは最初の授業で計測するのだ。
「まっ、私も戸惑ったよ……気にするな」
「?」
「そうか今年の一年には話してないか?私も小学生の時に今の姿になったからね」
「えええっ!」
一年生らは驚くが二年生や三年生らは驚かない。
「楠瀬は不慣れな事がまだあるからな……みんなでフォローするように」
「あの~具体的には」
一人の女子生徒が言うと葵川先生はボソッと言う。
「男子トイレに入りそうになったりもするからね、私も何度かね」
確かにこれは問題だ。一歩間違えば取り返しがつかない事態にもなりかねない。
「男子生徒らが浮足立っているがそこら辺は教師らと生徒会で何とかする。なにぶんこの中学校では初めてのケースになるからね」
「変性症が?」
「そう……楠瀬も好きでこんな体になった訳でもない。そこは理解してもらいたいわね」
「あの~~時間が」
時計を見て慌てて着替えを再開する者、さっさっとプールサイドに行く者に別れる。
「先生ありがとうございます」
玲は既に準備を終えておりスイムキャップとゴーグルに大きめのタオルを持って賭け寄る。
「私の学生の時はまだ教育現場も戸惑っていたし……虐めの寸前もあったし、で気がついたら私を励まして庇ってくれた先生を見て、大学じゃ教育学部に通っていたと……その間に色々と改善されただけでも良かったと思う」
葵川はポンと玲の頭を撫でる。変性症を初めとする第二次性徴異常症の誤解や偏見が齎す問題は教育現場にとっては頭が痛い事は変わりはないが改善もされているのも事実である。





kyouske
2017年02月24日(金) 17時12分06秒 公開
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