第二次性徴変性症 4
・ただいま準備中

僕が今使用している下着は入院から数日後に母親と篝さんセレクトして差し入れで使っていたけど発症後のサイズが精々CかDになると思っていたが実際はIカップ……トスカさんのボスが彼女の提案に即決、倉庫の中をひっくり返して貰ったのが試作モデルの物を付けている。靴は幸い篝さんの学生時代に使っていたお古を修繕したモノで足のサイズが丁度一致している。どうも篝さんの母親は元レイヤー(=コスプレイヤー)でその関係上修繕する職人さんとの繋がりも深い。
「う~~慣れない」
「私もそこまで大きくないから分からないけど……正弘も落ち着かないよね」
胸囲の格差社会と聞いた事があるが……胸が有り過ぎると困る事もある。実際兄の視線も気になる。
「まあ、いいわ……先に制服と運動服、スク水受け取りに行くわよ」
兄もその店が分かるのか慣れた手つきで自動車を運転する。


「……で、楠瀬の下の子の制服交換ね……この地域で出たのは久しぶりかなぁ」
学校指定の昔ながらの仕立屋の店内にて兄の同級生でもある看板娘が苦笑する。変性症を発症した男子生徒は制服の無償交換が出来るようになっており既に用意されていた。
「篝のお古?」
「そう……丁度良い服って残っているのレイヤー衣装位だし、これも一番普通ぽいから」
「あ~師匠すごいもんね……制服なら複製しちゃうもんねぇ」
彼女も遠い目になるほどって……聞く事すら躊躇する表情をしている。
「それにしても大丈夫?ここまでロリ巨乳だと」
今明らかに18禁表現的な男女の濡れ場表現をイメージしたと分かる。
「まっ、ブラウスは試着してみて……」
学校指定のブラウスを着る為に試着室に入る僕……とりあえずセーラー服を脱いで着てみる。
「ボタンの糸は一番強いタイプにしているわ」
「大丈夫なの?」
「巨乳レイヤーさんご愛用の一品」
看板娘のドヤ顔だが指の至る所にバンソーコが見える。正直仕立屋の看板娘としてはどうだろうか……。
「どう?」
「玲ちゃん、どーしてスカートまで脱いだの……」
篝の声にハッとした。可愛いパンティに短めながらの生足に半折ソックスに包まれた足。そしてブラウスのみ……兄は慌てて体を反転させた。
「大丈夫かしら」
篝は苦笑するしかない。



中学校用の制服を初めとする一式は問題無しと言う事で私服を買いに行く事にした。郊外の大型商業施設で揃える事になるが……。
「制服だけど大丈夫なのか?」
「あら、昔から制服のとりかえっこはあったから平気よ」
兄の言葉に篝はケロっとした表情になる。
「それに万が一の時はマイナンバーカードで代用出来るわよ……」
学生証は男性のままで入院後に学校に返納されている。これはICチップ内蔵で出席から学食の支払いまで電子化されている……また健康情報もインプットする必要もある。健康情報とは各種アレルギーや生命に左右する持病やであり、後天性性転換症全般も遺伝子異常症の一つとして登録する事が義務付けされている。
「と言う事で、よろしくぅ~~~♪」
篝さんはニッとして運転している兄に言う。
「色々と買うつもりか?」
「そうよ……」
「わかったよ……はぁ」
兄のため息したが仕方ないと思っているのだろう。



数十分後、郊外にある大型商業施設駐車場に兄は駐車する。郊外と言っても所謂ベットタウンで路線バスも十分あるし自転車でも行ける距離だ。
「まずはワールドクロスからね」
これはカジュアル系では日本は元より近年では欧州やアジアにも展開しているアパレルメーカーでお値段割には品質が良く、品揃えも十分だ。
「Tシャツは後廻し、ワンピースからいくわよぉ!」
玲を引っ張る篝を見守るしかない兄は苦笑するしかない……篝には上に兄二人が居て揃いも揃ってシスコンである。故に男勝りになってしまった事は否めない……彼女の母親からも何時でも子供出来ても構わないと言われる始末だ。
「程々になぁ」
篝に言っておいたが聞く耳持たずだ。


「うん、にあうわぁ」
「篝さん眼が怖いです」
「だって、こんな可愛い子なら真剣になるわよ……」
試着を終えた玲は疲れた表情を見せるが篝は未だに元気だ。
「真剣って」
「とりあえず普段着はこれで十分、次は勝負服ね」
「勝負服って」
「デートよ……この分だと争奪戦が起きるから早めに用意しないと」
試着終えたワンピースを初めとする各衣類を畳み買い物籠に入れるなりレジに向かう。
「篝っ!」
就職活動帰りなのかリクルートスーツで決めている女性が声をかける。
「あっ、みずっち!」
「篝、ねぇ、その子って」
「正弘の所の下の子よ……変性症になってね」
「楠瀬の所の……うぁ!可愛いくなっているけど、胸が……」
どうも高校時代の同級生らしく玲の胸を見て驚く。
「瑞穂、驚いているだろ」
「楠瀬君久しぶり……同窓会出てないから心配しているよ」
「仕事に余裕がなくってね……そっちは大丈夫なのか?」
「うん……まあ就職活動もぼちぼちって言う感じ……先に会計済ませたら?」
「OK」
玲はキョトンしていると篝さんは言う。
「高校の時の同級生……変わってないわ」
「篝さんって大学は?」
「行ってない、寧ろビジネス専門校に通っているから」
これには両親の経済状況が悪くはない、寧ろラクに大学に通わせる位の経済力を持っている……だが彼女は現実を見て今の進路にした。
「それに私、結構やんちゃしていてね……大学推薦なんて無理って分かっていたからね」
よく見ると手には細かい傷が見える。家事で出来た傷ではない……。格闘技で出来る傷と分かる。
「今のビジネス専門校の方がいいのよ……大学なんて大変よ」
篝が清々した表情になる。
「次の方どうぞ」
店員の言葉に玲はレジに買い物籠を置く……女性店員は玲の胸に驚くが隣にいた女性店員は商品の量を見て察した。籠一杯に納められた量でセールでもない……。
「お客様、直ぐ着用されますか?」
「いえ」
これは後で知ったけどこの様な買い物をするのは少女になった子の特徴で店員さんも察しが良い人は分かるそうだ。
「ありがとうございました」
店員さんの声が弾んでいる様に聞こえた、そりゃあ交通系ICカードチャージ限度額から半分以上の金額だもん。
「お待たせっ、この後予定無いんでしょ?」
「……うん」
「つき合わない?私だけのセンスじゃ自信がないのよ」
瑞穂は少し考えると頷いた。
「ちゃんと会うのは初めてかな?葵河 瑞穂……私と正弘とは同じ高校に通っていたの」
「よろしくね……で次は?」
「勝負服よ」
篝の言葉に瑞穂は遠い目になり言う。
「それを昨年までランドセル背負っていた子が必要かしら?」
「この胸のサイズなら……どんな男も寄りつくわよ、あの三バカも……」
「?」
「ああ、篝によくコンポ喰らって保健室に担ぎ込まれた奴らだよ……」
正弘が遠い目になると瑞穂も苦笑する。
「何時も止めるのは俺の役目だったからなぁ……」
「うん前日におばさまの着せ替え人形された時には必ず誰かがねぇ、よく打撲で済んだと思う事もあったわ」
「……本当に大人になったと思うぞ、篝は」
店を出て背後から声がした。真面目な顔付でカジュアルな服装をした男性がにこやかに言う。
「「「伊藤先生っ!!!」」」
三人が会釈すると玲も頭も下げる。
「あれ?楠瀬って下の子は……男だったよな?」
「先月までは……変性症になって」
「そうか……この地域出たと言うのは聞いてはいたが……中学生か?」
「はい、これはその……」
慌ててマイナンバーカードが入った財布を鞄から出そうとすると伊藤は言う。
「大丈夫だ。なんちゃって制服かぁ……そりゃあ可愛いモノ好きだからなぁ、篝は」
「先生っ」
「たまには顔を見せろよ……おっとっ」
何かを見つけたのか小走りに視線の先に向かいつつも腕章を付ける。恐らく見回りの最中だったのだろう。
「見回りも大変ね……」
「貴方と比べると楽かもね」
瑞穂がポンと篝の肩に手を置く。




数時間後、化粧品&小物の買い物で玲は魂が抜けそうな表情になる。ソファーに凭れかかり天井を見る……幾ら鍛えても肉体よりも精神面で疲れてしまう。
「シアトルバーガーでいいか?」
「任せる」
正弘は苦笑する。何時もならどんなに疲れていても飛びつくのに……話には聞いていたが精神的負荷で肉体まで及んでいるのだ。玲が延びているソファーがあるのはフードコードであり、賑わっている。
「篝、私の分もお願いね」
瑞穂は言うと篝は頷くと正弘と共にシアトルバーガーのブースに向かう。
「……気遣いありがとうございます」
「貴方も大変ね……」
瑞穂は呆れつつも玲を見る、身長はそれほどないのに胸のボリュームは凄い……間近に見ると同性でも掴みたくなる。
「本当に大変な事になるわね、これから」
先程から男性の視線を感じるようになっている、瑞穂も胸はデカイ方だが明らかに玲の方が勝っている。見ただけでも分かる……。
「……もしかして楠瀬 玲君かな?」
背後から声がしたので振り向くとクラスメートの女子らが居た。当然ことだが私服で夏物ばかり……何人かは小学校からの付き合いも居る。
「瀬川さん……」
「かわいくなっているぅううう!」
「すご、胸幾らあるのぉ!」
「えっと、Iカップ」
「リーヤから聞いてはいたけど……すごいわっ」
「これってなんちゃってだよね?セーラー服」
「兄の彼女の……」
「そうよねぇ……その頃はセーラー服だったし」
そう、玲が通う中学校も市立であるが世の流れには逆らえずにブレザーになっている。これでもここら辺では最後まで学ランやセーラー服を採用していた公立校であって変更にはOBから保護者会まで賛否両論、とは言え少子化の影響をもろに受ける業種故に導入となっている。とは言え、今時の子もセーラー服にあこがれるのはやはりマンガやアニメの影響もあるし名門校がセーラー服を採用し続けている節もある。
「なんだ、美濃島の下の子じゃないか……玲と一緒のクラスか」
篝が言うと一人は頭を下げる。
「はい……お姉様。何ですかこの犯罪誘発ボディになった玲君は……」
「……医者もびっくりしていたよ……」
篝も瑞穂も美濃島の身も蓋も無い言葉に遠い目になりつつも言う。
「貴方達、昼は?」
「まだです」
幸いにも隣のテーブルは空いているのでそのまま彼女達も昼にする事にした。
「鞄とか見ておくから、買ってきなさい」
「ありはとう~~」
彼女達からの質問責めが途切れて玲はほっとしたのシアトルバーガーの定番メニューである“ギガシアトルバーガーセット“を食べ始める。兄は数年前から登場したシアトルパスタの”シーフードカレーパスタセット”を選んでいる。
「本当に異常なんだな、このサイズって」
玲の同級生らを見た兄の言葉に篝は苦笑する。確かに三月まではランドセルを背負っていた背丈なのでなおさらであろう。

程なくして彼女達も其々の店からランチを買って戻って来た。楽しく談話している姿を見て兄はホッとしていた。
「心配していたんだ?」
「そりゃあ虐めとかの問題も出て来るかもしれないし」
「それは症例が公表されての時だったし……その事例は何れも加害者側に盛大な罰金や慰謝料が科せられているからね……見せしめの為には丁度良い額よ」
「丁度良いって?」
「まあ持家を手放すか加害者の大学進学を諦める程度」
篝がケロッと言うと二人とも蒼くなる……故に学校側も親も変性症起因の虐めが起こる事を恐れており対策はしているのは罰金や慰謝料を恐れているのだ。中には加害者の保護者が支払いを渋ったが裁判所により預貯金差し押さえられてしまい、公務執行妨害の現行犯逮捕になった事もある。
「国も色々とやっているわね」
「今のご時世、その身に経験しないと分かってもらえないからね……」
瑞穂はシアトルパスタのアサリパスタセット、篝はシアトルバーガーのフライフィッシュダブルタルタルのサラダセットを食べていた。
「ゲッ!篝が……」
瑞穂の背後で聞きなれた声に篝は言う。
「あら三バカ……またナンパ?隣の子達に手出したら洒落にならないわよ」
「分かっているよ……楠瀬に妹がいたか?」
「弟の筈だが、確か美濃島の妹は……一番隅の子で……」
三人の男子学生三人は直ぐに玲に眼を向けたが瞬間に正弘の眼付が鋭くなる。彼らも正弘の怖さは知っている……学生時代に篝が上級生に性的暴行されかかった際には彼らは歯の一本は吹き飛び、強烈なひざ蹴りで胃の内容物を吐きだす程であり、数時間後にはその上級生と繋がりがある地元のヤンキー数人らと乱闘の末に返り討ちにして交番に放り込み一騒動を起した……それ故に地元やその周辺では語り継がれる程の有名だ。
「では~~これで~~」
「よろしい」
瑞穂は苦笑した。



午後からは美濃島らと回る事にした。聞けば美濃島の叔父夫婦が帰省しており夕方頃に迎えに来ると言う。変わりに従妹を預かってくれと言う事だ。
「玲は初めて会うかな?従妹の香苗で小学四年生」
頭一つ背が小さい少女はおずおずと頭を下げ、胸に視線を移す。
「男の子だったんですか?」
「そうよ……少し可愛い顔しているお姉さんのショタ心擽る様な顔立ちだったのに……今じゃ」
美濃島は言うが香苗は自分の胸を見て屈折した表情になる。
「大丈夫よ、それなりに発育するから…それに世の中の男性は巨乳好きってないからね」
瑞穂が言うと香苗はコクッと頷く。
「香苗ちゃんよろしくね」
「はい……あの玲お姉様って呼んでも……」
「香苗って緑ヶ丘女学園の生徒なのよ……」
隣県にある戦前から歴史を持つ由緒正しきお嬢様学園で初等部~高等部まであり学力も可也あり、その名はここら辺の男達も知っている……玲とのクラスメートである美濃島 羽須美の両親は誠実なのか市立に通わせている。
「いいけど……」
「やったぁ!」
それほど背丈は変わりがないのだが……女の子が近くに来ると時折ドキッとする。
「アクセサリーとか見て回ろうよ」
「水着もほしいし」
流石にこのショッピングモールを把握しているのか美濃島らはパンフレットを見ずに向かう。香苗が先程からべったりする……明らかに周囲に誤解されそうな状況だ。



「玲ちゃんのサイズの水着あってよかったねぇ」
「このサイズだと二枚重ねした方がいいわよ」
玲の水着が学校指定の競泳用しかないと察した美濃島らは海外メーカーの直営店にて玲の水着を探してくれた。確かに競泳用もよいのだがそれでは色々とマズイ……何よりもこんな可愛いくなったのならもったいない訳だ。ビキニタイプで胸の個所を二枚重ねするのは胸ポロを防ぐ為でもある、ここら辺は玲には及ばないが平均的な巨乳である吉野 葵が詳しい……何せ彼女の胸は小学五年の時には既にジュニアサイズではなかった……。
「でもここしかないとなると大変よね」
「リーヤのママさんの所って水着扱ってないの?」
「どうだろ?」
「海外の方が巨乳率が高いっていうし……聞いてみる」
変性症の際に豊乳率が高いのがアメリカである事は入院中に主治医が話した事がある。食品に含まれるホルモンが関係しているとも言われてはいるが不明だ。
「あれ?香苗ちゃんは?」
「さっきお手洗いに……遅いわね」
直営店の横にはトイレや授乳室等に続く通路があり駐車場にも続いている。玲はハッとしてスマホを投げ美濃島に投げ渡すなりいう。
「美濃島、従妹のケータイに鳴らして。吉野、兄貴を呼んで来て」
玲は直ぐに女子トイレと多目的トイレを見るが香苗はいない、駐車場へと走り出す。周囲を見つつも耳を澄ます……香苗が持っていた携帯電話は防犯ブザー機能があるモデルだ。その音は知っている……近所の子も持っていたからだ。甲高い電子音が鳴りその音の方へと向かう……香苗が大学生ぐらいの男数人にワンボックスタイプの車内に連れ込まれそうになっている。
「何をしているの!」
「あん、なんだ……」
一人が玲の方に下衆な表情を浮かべて来るが彼の意識は途切れた……玲は一撃で男の肝臓辺りに蹴りを入れたのだ。ローファーでなかったら肋骨までダメージを受けていたろう。
「こいつ!!」
茶髪で如何にもワルと言うような格好の男は玲が放った突きにより腹を直撃された悶える。
「その子から離れなさい」
香苗の手を握っていた男は手を離した瞬間に何かを取りだした。
「!」
玲はビリッとした感覚にその場で崩れた……防御した腕に何かが突き刺さっている。
「へへっ、大人の経験ってさせてやるぜ」
男はスタンガンでも電極を射出して電極を突き刺すタイプを使ったのだ。
「おめえら!のびてないでとっとしろ!」
「(しまった……このままじゃ)」
体が痺れてしまい車内に連れ込まれそうになった瞬間、鈍い打撃音が聞こえた。玲が見上げると見知らぬ男性が香苗を片手で抱っこしたまま立っており足元には先程のスタンガンを使った男が倒れていた。
「大丈夫かい?お穣さん……」
「うん……玲お姉様が!」
男は屈み玲の腕を見る、電極が突き刺さった痕が痛々しい。
「ちっ!」
車内にいた男数人が倒れた仲間を車内に押し込みその場から離れた。
「逃げられるよ!」
男性は慌てる香苗とは対象的に彼は落ち着いた表情を浮かべた。
「大丈夫……涼」
「リョーカイ!」
何時の間にかライダースーツを着た女性が大型バイクで来ており彼女は男性が何をするのか分かって居る様な感じで颯爽と後を追う。



その後は警備員が来て香苗と玲を助けた男性が事情を話すと直ぐに警察に通報、玲は救護室に運ばれていた。
「これ位なら直ぐに治りますよ」
現場に通りかかった医師が直ぐに診察して兄も篝もホッとする。
「橘 総一郎……三沢自動車株式会社に勤めてます」
名刺を受取った兄も直ぐに名刺を出す。
「自分は楠瀬 正弘です……妹と友人の従妹を助けてくれてありがとうございます」
「妹さんは強いですね……迷いも無く一撃、そして直ぐに構える」
「何か格闘技でも」
「空手を主に……柔道とかも少々かじってますが」
やがて刑事ら見えると橘を見て言う。
「おー橘の所の……ん?確か日比谷の所の」
「楠瀬です……あの、その少女は」
刑事は兄の言葉と表情で察し彼の耳元で囁く。
「なるほど、変性症で妹になりたてと言う事ですね」
「はい」
「巴が追尾している」
刑事にスマホ画面を見せると彼は呆れ顔になる。
「……ご丁寧にナンバーまで控えているとはねぇ」
刑事はため息交じりで言う。



数時間後、日比谷の自宅に隣接する道場にて橘は正座して高士の祖父に挨拶をする。
「あやつは何と言っている」
「道場の看板をとってこいと」
上座にて日比谷の祖父は笑みを浮かべた。生涯の好敵手は如何にも言いそうな言葉だ。
「玲を救った事は聞いておる、礼を言う」
「はい」
「玲をどう見る?」
「この前までは少年だったとは思えません……」
「ほう……分かるのか?」
「巴も変性症発症者です、私も最初は戸惑いました」
日比谷の祖父は高笑いをする。
「玲……そこへ」
そこには胴着に身を包んだ玲が姿を見せ、長い髪の毛を一纏めにして正座している。
「綺麗だ」
橘は呟く。
kyouske
2017年02月24日(金) 17時07分16秒 公開
■この作品の著作権はkyouskeさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ


この作品の感想をお寄せください。
感想記事の投稿は現在ありません。
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)  削除用パス 


<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD 編集 削除