B→maGic 3&4
「それにしてもどうやって過ごすの?」
 帰りは5人で帰ろうということになり、靴箱で制定靴に履き替えていると、俺を女子にした張本人である春原春奈が俺にこう言った。
「『どうやって』って?」
「女子になってまだ数時間しかたっていない佑珠希ちゃんが、どうやって1人で過ごしていくの、ってこと」
「それがどうかしたの? 普通に1人で過ごすわよ」
俺は、質問の内容がよく分からず、1人で過ごすということを、言いたくないのに言ってしまう女言葉で答えた。すると……

「佑珠希ちゃん、何も分かってない!」

 春原が、冬野さん以外の4人が驚くほど大声で言った。
「いい、女の子は男子と全然違うのよ。しかも、両親は佑珠希ちゃんのこと、もとから女の子だと思っているのだから、困ったときどうするの?」
「は、はぁ。でもどうすればいいのよ! 春奈が元に戻してくれるわけ?」
俺はここで元に戻してくれると少し期待したのだが、春原は、少し考えてから言った。
「じゃ、うちに泊まろう! ……みんな、急だけどうちに泊まれる?」
「いいよ!」
「大丈夫!」
「私も大丈夫です」
「えっ……」

 思っていたのとは全く違うベクトルの方へ進んでいってしまった。しかし、ここで俺はいい案を思いついた。
「でも、あたし親に許可取ってないし厳しいから、友達の家へ泊まりに行くなんて無理だと思うわ」
「大丈夫。私の魔法なめないでね」
そう春原が言うと、何かまたぶつぶつ言い出した。終わったかと思うと視界がぐにゃりと曲がった。
「今、いったい何が起こったの?」
「ふふっ。これで泊まれるよ」
「ま、まさかー」
「じゃ、一旦家に帰ってから来てね」
 その後、春原が家の場所について教えてもらった。家は少し大きく、赤い屋根が目印とのこと。
 そして、あれこれ言っているうちに、俺はみんなと別れる場所まで来た。
「じゃあ、また今夜」
「ばいば~い」
「またね~」
「また今度」
「ばいばい……」
 そして、俺は夕焼けに照らされながら、家までの急な坂道を走っていった。

 家に着き、俺は一人願っていた。どうか母さんくらいは俺が男であったことを覚えていますように、と。そして若干重く感じるドアを開けた。
「ただいま」
すると偶然にも目の前に母さんがいた。
「おかえり。今日は春原さんの家へ泊まりに行くんでしょ。早くしないと日が暮れちゃうよ」
俺の願いは砕け散った。俺が女子であることに気にもかけず、まさか泊まることまで知っているとは……。俺はうなだれてしまった。ただ、無理やり約束させられたとはいえ、泊まりにいかないと、確かに困ったときに大変になりそうなので、行くことにした。

 とりあえず、自分の部屋に入った。すると、部屋の内装が驚くほど変わっていた。男だった時は、壁紙は白色でアニメのポスターを1枚貼っていたのだが、今はピンク色を基調とした壁紙で、ポスターの代わりにクマのぬいぐるみが1つあった。
「……!」
俺は出る言葉がなくなっていたのだが、1つ何かを思い出し、服が入っている現在は淡いピンク色のタンスを開けた。すると中に入っていたものはすべて女物になっていた。しかし、泊まりにいくには制服からどれかに着替えないといけない。俺はタンスの中を必死に探し、1着だけあったレディースのジーンズに出来るだけ目立たない服に、下着を気にせず着替えた。用意はなぜかしてあり、中身を一目見ると、スカートやワンピースは偶然にも入っていなかったため、それを持っていくことにした。


--------------------

 俺の家から春原の家までは電車から5分くらいのところにあるので、電車で行くことにした。俺は、電車内で考えていた。

……………………
俺は女子になり、女子と泊まることになった。
 →つまり、一緒に風呂に入ることになる。(そうとは限らない)
  →そして、春原にまた魔法をかけられる。(確率1億分の1)
   →よって、俺は女子のまま!(いや1週間っていう約束は?)
……………………

 うわっ、それだけはかんべんして! と思っていると春原の家の最寄り駅に付いた。

 駅から春原の家までは歩いて3分なので、すぐに着いた。インターホンを押すと、春原春奈の妹だろう人物が玄関から出てきた。容姿は小学生程度で、純粋な目をしている。……ぎゅっとしたい。
「妹さんかな? お姉ちゃんはどこにいるの?」
「何言ってるの佑珠希ちゃん。わたしは一人っ子だよ」
At14
2015年08月18日(火) 13時18分28秒 公開
■この作品の著作権はAt14さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ついに3話&4話(ストーリー道場にあげるのには短かったので繋げました)投稿です。

春原はなぜこんな様子なのか?
そして下里の運命やいかに!?
次回第5話、お楽しみに。

(2015/08/18:一部修正しました(内容は変わっておりません))
(2015/08/17:最終段落を大幅に編集しました)

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